契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
「梨々花! これから休憩?」
「今戻るところなの! それより、これっ!」
梨々花は鈴音との遭遇に喜ぶ顔も見せず、緊迫した様子で鈴音の腕を引っ張る。
梨々花の怒っているような態度に鈴音が周章していると、携帯をずいっと突きつけられた。
写真フォルダの画面に焦点を合わせ、目を凝らす。
「え? なにこれ……」
梨々花の手から携帯を取り、写真を拡大する。
〝ストーカーに襲われた婚約者 身を挺して守った副社長〟
梨々花の携帯の中には、とある週刊誌の画像が映し出されている。
隅のほうに小さな写真と共に書かれた見出しをしばらく凝視していた。
「さっき休憩室で見つけたの! すぐにでも鈴音に電話したかったけど時間だったから」
興奮気味に話す梨々花の声も、鈴音はまともに聞こえていなかった。ただ目を剥いて週刊誌の記事を見る。
梨々花は心配そうに眉を顰め、鈴音の手にある携帯を覗き込む。
「小さな記事だけど、雑誌自体はよく見かけるものだし。目は隠されているけれど、親しい人が見れば鈴音だってわかりそうだよ」
非現実的な出来事を前に、鈴音は茫然とする。
この事件の直後、わりとすぐに事情聴取も済み、完全に終わったことだと思っていた。
あとは忍の傷が癒えるだけだとばかり……。
まさか自分の知らないところで騒ぎになっているだなんて思いもしなかった。
「でも……記事は嘘じゃないし、実名じゃなくて婚約者ってなっているなら私はべつにいいけど……」
(忍さんは大丈夫なの?)
文面を最後まで読めば、ローレンスの副社長であることがわかるのではないかと不安になる。
記事の内容に悪意は感じられないが、ちょっと美化して説明しているようにも感じる。
「こんなことがあっただなんて……! なんで言ってくれなかったの!」
「ごめん……」
「今までこんなの別世界の話だと気にも留めなかったけれど、まさか鈴音がそっち側の人間になるなんて。気をつけないと、偽装結婚だっていつ知られて騒がれるか……」
梨々花は鈴音を心配するあまり、うっかり口を滑らせた。
それこそ、今の言葉を誰かに聞かれてしまったら……。
梨々花自身も発言してすぐに気づいてすぐに口を噤んだが、もう遅かった。
「それ、やっぱり山崎さんだったの……?」
「今戻るところなの! それより、これっ!」
梨々花は鈴音との遭遇に喜ぶ顔も見せず、緊迫した様子で鈴音の腕を引っ張る。
梨々花の怒っているような態度に鈴音が周章していると、携帯をずいっと突きつけられた。
写真フォルダの画面に焦点を合わせ、目を凝らす。
「え? なにこれ……」
梨々花の手から携帯を取り、写真を拡大する。
〝ストーカーに襲われた婚約者 身を挺して守った副社長〟
梨々花の携帯の中には、とある週刊誌の画像が映し出されている。
隅のほうに小さな写真と共に書かれた見出しをしばらく凝視していた。
「さっき休憩室で見つけたの! すぐにでも鈴音に電話したかったけど時間だったから」
興奮気味に話す梨々花の声も、鈴音はまともに聞こえていなかった。ただ目を剥いて週刊誌の記事を見る。
梨々花は心配そうに眉を顰め、鈴音の手にある携帯を覗き込む。
「小さな記事だけど、雑誌自体はよく見かけるものだし。目は隠されているけれど、親しい人が見れば鈴音だってわかりそうだよ」
非現実的な出来事を前に、鈴音は茫然とする。
この事件の直後、わりとすぐに事情聴取も済み、完全に終わったことだと思っていた。
あとは忍の傷が癒えるだけだとばかり……。
まさか自分の知らないところで騒ぎになっているだなんて思いもしなかった。
「でも……記事は嘘じゃないし、実名じゃなくて婚約者ってなっているなら私はべつにいいけど……」
(忍さんは大丈夫なの?)
文面を最後まで読めば、ローレンスの副社長であることがわかるのではないかと不安になる。
記事の内容に悪意は感じられないが、ちょっと美化して説明しているようにも感じる。
「こんなことがあっただなんて……! なんで言ってくれなかったの!」
「ごめん……」
「今までこんなの別世界の話だと気にも留めなかったけれど、まさか鈴音がそっち側の人間になるなんて。気をつけないと、偽装結婚だっていつ知られて騒がれるか……」
梨々花は鈴音を心配するあまり、うっかり口を滑らせた。
それこそ、今の言葉を誰かに聞かれてしまったら……。
梨々花自身も発言してすぐに気づいてすぐに口を噤んだが、もう遅かった。
「それ、やっぱり山崎さんだったの……?」