契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
ガチャガチャ!という解錠の音に心臓が大きく跳ねた。
深夜のせいで敏感になっていただけかもしれないと思ったが、でもやっぱりいつもの忍の開け方とは異なる気がする。
(忍さんはいつも、もう少し静かに入ってくる)
それに、よく耳を澄ますと人の声も聞こえてきた。
鈴音は息を止めて肩を竦め、窺うように聞き耳を立てる。
「ほら、着いた! 靴脱いで」
男性の声がした。けれど、それも忍の声ではない。
バタバタと騒がしい音が玄関の方向からしばらく続き、徐々に足音が近づいてくる。
鈴音は心臓をバクバクと慣らし、静かに立ち上がる。すると、パッと廊下の電気が点き、ドアの隙間から光が射し込んで来た。
「まったく。若者じゃないんだから、自分の限度わきまえろよ」
さっきからひとりしか喋っていない気がして不思議になった。
そっとドアの隙間から覗き見ると、柳多に身体を支えられている忍が目に飛び込んできた。
「ど、どうしたんですか……!?」
柳多は咄嗟に姿を現した鈴音を凝視する。
「鈴音ちゃん。急にお邪魔してごめん。起こしちゃった?」
「あ、いえ。大丈夫ですけれど、忍さんはいったい……」
不安そうな表情で忍を見つめる鈴音に、柳多はすぐにいつもの柔らかな瞳に戻して答えた。
「あーこれ? 悪酔い。珍しく飲みに誘われて付き合ってたんだけど、潰れちゃって」
「悪酔い? お酒を飲まれたんですか?」
「そう。で、こんな感じ」
鈴音は眉を顰めて聞き返したあとに、忍の横顔を見つめた。
「傷がもう少し治るまで飲酒は控えるべきって知っているはずなのに……」
頭が切れそうな忍が忘れているとは思えない。
鈴音は今日の出来事のせいでは……と青褪めかけた。
「それでも、飲みたかった理由がなにかあったわけだ」
柳多の核心をつかれたようなひとことに、鈴音はドキリとする。
自分に対しての苛立ちを飲酒することで発散しようとしたのかもしれない。
一度考えてしまうと、それ以外に理由なんて思いつかない。
深夜のせいで敏感になっていただけかもしれないと思ったが、でもやっぱりいつもの忍の開け方とは異なる気がする。
(忍さんはいつも、もう少し静かに入ってくる)
それに、よく耳を澄ますと人の声も聞こえてきた。
鈴音は息を止めて肩を竦め、窺うように聞き耳を立てる。
「ほら、着いた! 靴脱いで」
男性の声がした。けれど、それも忍の声ではない。
バタバタと騒がしい音が玄関の方向からしばらく続き、徐々に足音が近づいてくる。
鈴音は心臓をバクバクと慣らし、静かに立ち上がる。すると、パッと廊下の電気が点き、ドアの隙間から光が射し込んで来た。
「まったく。若者じゃないんだから、自分の限度わきまえろよ」
さっきからひとりしか喋っていない気がして不思議になった。
そっとドアの隙間から覗き見ると、柳多に身体を支えられている忍が目に飛び込んできた。
「ど、どうしたんですか……!?」
柳多は咄嗟に姿を現した鈴音を凝視する。
「鈴音ちゃん。急にお邪魔してごめん。起こしちゃった?」
「あ、いえ。大丈夫ですけれど、忍さんはいったい……」
不安そうな表情で忍を見つめる鈴音に、柳多はすぐにいつもの柔らかな瞳に戻して答えた。
「あーこれ? 悪酔い。珍しく飲みに誘われて付き合ってたんだけど、潰れちゃって」
「悪酔い? お酒を飲まれたんですか?」
「そう。で、こんな感じ」
鈴音は眉を顰めて聞き返したあとに、忍の横顔を見つめた。
「傷がもう少し治るまで飲酒は控えるべきって知っているはずなのに……」
頭が切れそうな忍が忘れているとは思えない。
鈴音は今日の出来事のせいでは……と青褪めかけた。
「それでも、飲みたかった理由がなにかあったわけだ」
柳多の核心をつかれたようなひとことに、鈴音はドキリとする。
自分に対しての苛立ちを飲酒することで発散しようとしたのかもしれない。
一度考えてしまうと、それ以外に理由なんて思いつかない。