契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
「きみの戸籍はいくらだ?」
長い足を組み、品定めでもしているかのような視線を鈴音に向ける。
鈴音は思わず顔を上げ、優雅に座る忍を凝視した。
「私は、べつにそんなことっ……!」
金銭を要求しようと考えたことなど一切ない。
それにも関わらず、お金の話題になったのは、そんなふうに見られていたのかと心外に思った。
しかし、そんな鈴音の気持ちにはまったく気づかず、忍は自分の考えのまま、話を進める。
「言い値を払えるかはわからないが、出来る限り希望に沿うようにしてやる」
鈴音は呆気にとられ、なにも言葉が出て来ない。十数秒、互いになにも言わず、視線を交錯させていた。
その間、真っ直ぐな目を向ける忍を見て、今の提案は決してバカにしているわけでも、ローレンスの副社長としての矜持というものからでもないと感じた。
(ただ、純粋に、目的を達成させようとしているような……)
鈴音は、目の前の彼がなにを手に入れたいのか。そのことが、単純に気になった。
「なんでそこまで……」
「中途半端に引き受けられるのは困る。きみ自身と生活を保証し、戸籍のレンタル料を払えば、それ相応の対価を求めても文句はないよな」
けれど、忍の回答は鈴音が求めていたことからはずれている。
その内容に、鈴音は訝し気に眉を寄せた。
(この人、ちょっと……いや、かなり独裁的な人かもしれない。そもそも、この結婚話だって、初めて聞かされたときも強引だったし)
忍の心に歩み寄ろうとしていた気持ちがなくなり、再び距離が生まれる。
さらに、忍は鈴音の心を遠ざけることを口にした。
「ああ。あと、引っ越し業者も手配済みだから。週末はそのつもりで」
「えっ」
「詳しいことは、柳多に聞くといい」
忍は用件だけ伝え終えると、ソファから立ち上がる。鈴音は衝撃を受けて、まだ動けずにいた。
(やっぱり、夫婦になるわけだから一緒に暮らすんだ)
現実を突きつけられ、途方に暮れる。
おそらく、これ以上なにかを意見したところで、どれも受け入れてはもらえないのだろうと、鈴音は仕方なく諦めた。
長い足を組み、品定めでもしているかのような視線を鈴音に向ける。
鈴音は思わず顔を上げ、優雅に座る忍を凝視した。
「私は、べつにそんなことっ……!」
金銭を要求しようと考えたことなど一切ない。
それにも関わらず、お金の話題になったのは、そんなふうに見られていたのかと心外に思った。
しかし、そんな鈴音の気持ちにはまったく気づかず、忍は自分の考えのまま、話を進める。
「言い値を払えるかはわからないが、出来る限り希望に沿うようにしてやる」
鈴音は呆気にとられ、なにも言葉が出て来ない。十数秒、互いになにも言わず、視線を交錯させていた。
その間、真っ直ぐな目を向ける忍を見て、今の提案は決してバカにしているわけでも、ローレンスの副社長としての矜持というものからでもないと感じた。
(ただ、純粋に、目的を達成させようとしているような……)
鈴音は、目の前の彼がなにを手に入れたいのか。そのことが、単純に気になった。
「なんでそこまで……」
「中途半端に引き受けられるのは困る。きみ自身と生活を保証し、戸籍のレンタル料を払えば、それ相応の対価を求めても文句はないよな」
けれど、忍の回答は鈴音が求めていたことからはずれている。
その内容に、鈴音は訝し気に眉を寄せた。
(この人、ちょっと……いや、かなり独裁的な人かもしれない。そもそも、この結婚話だって、初めて聞かされたときも強引だったし)
忍の心に歩み寄ろうとしていた気持ちがなくなり、再び距離が生まれる。
さらに、忍は鈴音の心を遠ざけることを口にした。
「ああ。あと、引っ越し業者も手配済みだから。週末はそのつもりで」
「えっ」
「詳しいことは、柳多に聞くといい」
忍は用件だけ伝え終えると、ソファから立ち上がる。鈴音は衝撃を受けて、まだ動けずにいた。
(やっぱり、夫婦になるわけだから一緒に暮らすんだ)
現実を突きつけられ、途方に暮れる。
おそらく、これ以上なにかを意見したところで、どれも受け入れてはもらえないのだろうと、鈴音は仕方なく諦めた。