契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
柳多は鈴音に白い封筒を差し出した。鈴音は、『副社長から』と聞いて眉間に皺を寄せる。心当たりがまったくなくて、受け取るのを躊躇う。
(もし渡すものがあったなら、昨日渡せたはずなのに?)
けれど、手を引っ込める様子のない柳多に根負けし、おずおずと封筒を受け取った。柳多に目で伺いを立てると、今確認するような雰囲気だったので、鈴音はそっと封筒の口を開けた。中身がチラッと見えた瞬間、声を上げる。
「ちょっ! こ、これ、なに……!」
見えたのは札束だった。一瞬しか確認しなかったため、いったいいくら入っているのかはわからないが、百万単位なのは確実だ。
目を白黒させ、柳多を凝視する。すると、柳多は軽く握った手を口元に添え、短く笑いを零した。
「意外にしたたかだね。ちょっと驚いた」
鈴音はそう言われ、初めは怪訝そうな顔をするだけだったが、少しして、ようやく理解する。
(これは、昨夜、黒瀧さんとの会話で出た、戸籍代だ)
「でも、ま、確かにそれくらいはしてほしいところかな? 戸籍に傷がつくわけだしね」
「勝手に決めつけないでください!」
柳多の言葉に我慢ができなくなり、思わず激昂してしまった。
しかし、まるで、金の無心になっているとでも思われているようで、プライドが許さなかった。
鈴音はお金を柳多の胸に突き返し、キッと鋭い目を向ける。
「今回のことで、私は一銭だって欲しいと思ったことはありません! 黒瀧さんが思い込んでいるだけです」
柳多はきっぱりと言い切る鈴音を見て、意表を突かれたような表情を見せている。
鈴音は畳みかけるように、言葉を続けた。
「黒瀧さんにお伝えください。私は金銭を要求することはありません。今後一切、こういうことは控えてください、と」
鈴音に真顔で伝言を頼まれ、柳多は美しいお辞儀をし、畏まって答える。
「……承知しました」
(もし渡すものがあったなら、昨日渡せたはずなのに?)
けれど、手を引っ込める様子のない柳多に根負けし、おずおずと封筒を受け取った。柳多に目で伺いを立てると、今確認するような雰囲気だったので、鈴音はそっと封筒の口を開けた。中身がチラッと見えた瞬間、声を上げる。
「ちょっ! こ、これ、なに……!」
見えたのは札束だった。一瞬しか確認しなかったため、いったいいくら入っているのかはわからないが、百万単位なのは確実だ。
目を白黒させ、柳多を凝視する。すると、柳多は軽く握った手を口元に添え、短く笑いを零した。
「意外にしたたかだね。ちょっと驚いた」
鈴音はそう言われ、初めは怪訝そうな顔をするだけだったが、少しして、ようやく理解する。
(これは、昨夜、黒瀧さんとの会話で出た、戸籍代だ)
「でも、ま、確かにそれくらいはしてほしいところかな? 戸籍に傷がつくわけだしね」
「勝手に決めつけないでください!」
柳多の言葉に我慢ができなくなり、思わず激昂してしまった。
しかし、まるで、金の無心になっているとでも思われているようで、プライドが許さなかった。
鈴音はお金を柳多の胸に突き返し、キッと鋭い目を向ける。
「今回のことで、私は一銭だって欲しいと思ったことはありません! 黒瀧さんが思い込んでいるだけです」
柳多はきっぱりと言い切る鈴音を見て、意表を突かれたような表情を見せている。
鈴音は畳みかけるように、言葉を続けた。
「黒瀧さんにお伝えください。私は金銭を要求することはありません。今後一切、こういうことは控えてください、と」
鈴音に真顔で伝言を頼まれ、柳多は美しいお辞儀をし、畏まって答える。
「……承知しました」