契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
それから約三十分。車はとある駐車場に辿り着く。そこは、超高級ホテル『カメリア』だった。
雅やかなデザインの建物。荘厳な石造りの入口。照明や装飾は西洋風で、レトロでありながらシンプルなデザイン。まるで外国の景観だ。
鈴音はテレビで観たことのある高級ホテルに足が竦む。
「狼狽えるな。こんな場所、その辺のコンビニだと思え」
「む、むむ無理です~……」
日本の著名人はもちろん、海外セレブまで御用達のホテルだ。鈴音にとっては、一生関わることのない場所という認識でしかなかった別世界。
鈴音は、普通に歩くことさえ困難になりそうで、泣きそうな顔をしながら小さく首を横に振る。
気後れする鈴音を見て、忍は手をスッと伸ばした。
「――じゃあ」
そう言って、忍は鈴音の右手を掬い上げる。突然触れられて吃驚する鈴音は、大きくさせた瞳に忍を映し出す。
忍の精悍な目に、不覚にもドキリとさせられる。
触れ合うのは初めてではない。それどころか、一度キスだってしている。
当然、慣れなど存在しない。けれど、不思議なのは、これまでも今も、忍に対して嫌悪感は抱かないということだ。
ほかの男が相手なら、きっと距離を取るだろう。山内だったなら、完全にありえない感情だ。
「なにも考えず、オレについて来い」
忍は鈴音の手を自分の左腕に置いた。
大きなガラスに映る自分を見ると、誰もが羨むような男にエスコートされているシンデレラのよう。
(この高揚する気持ちの正体は……?)
跳ね上がる心臓はまだ落ち着きを見せない。
忍が歩幅を鈴音に合わせ、先導するように歩き出す。
(これは、今から彼のお父さんに会うという緊張だ)
忍に気づかれぬよう、こっそりと深呼吸を繰り返す。
鈴音は、これ以上挙動不審にならないようにと、意識的に視線を正面に固定する。そして、ただ忍の腕を頼りについていった。
雅やかなデザインの建物。荘厳な石造りの入口。照明や装飾は西洋風で、レトロでありながらシンプルなデザイン。まるで外国の景観だ。
鈴音はテレビで観たことのある高級ホテルに足が竦む。
「狼狽えるな。こんな場所、その辺のコンビニだと思え」
「む、むむ無理です~……」
日本の著名人はもちろん、海外セレブまで御用達のホテルだ。鈴音にとっては、一生関わることのない場所という認識でしかなかった別世界。
鈴音は、普通に歩くことさえ困難になりそうで、泣きそうな顔をしながら小さく首を横に振る。
気後れする鈴音を見て、忍は手をスッと伸ばした。
「――じゃあ」
そう言って、忍は鈴音の右手を掬い上げる。突然触れられて吃驚する鈴音は、大きくさせた瞳に忍を映し出す。
忍の精悍な目に、不覚にもドキリとさせられる。
触れ合うのは初めてではない。それどころか、一度キスだってしている。
当然、慣れなど存在しない。けれど、不思議なのは、これまでも今も、忍に対して嫌悪感は抱かないということだ。
ほかの男が相手なら、きっと距離を取るだろう。山内だったなら、完全にありえない感情だ。
「なにも考えず、オレについて来い」
忍は鈴音の手を自分の左腕に置いた。
大きなガラスに映る自分を見ると、誰もが羨むような男にエスコートされているシンデレラのよう。
(この高揚する気持ちの正体は……?)
跳ね上がる心臓はまだ落ち着きを見せない。
忍が歩幅を鈴音に合わせ、先導するように歩き出す。
(これは、今から彼のお父さんに会うという緊張だ)
忍に気づかれぬよう、こっそりと深呼吸を繰り返す。
鈴音は、これ以上挙動不審にならないようにと、意識的に視線を正面に固定する。そして、ただ忍の腕を頼りについていった。