契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
鈴音が言いかけたところに、「こちらでございます」と言うウエイターの声が近くで聞こえた。
振り返ると、上質なスーツを纏った男が立っていた。
「ああ、忍。おまえも今来たのか?」
「少し前に」
忍の父・光吉(みつよし)は、還暦を過ぎているにもかかわらず、若々しい風貌だった。さらに、大企業のトップなだけあって、普通ではないオーラを感じる。
忍とはまた少し違う威圧感。鈴音は少々恐怖に似た緊張を感じ、委縮する。
忍は鈴音が圧倒されているのを察し、そっと肩を引き寄せた。
「彼女がオレの決めた女性(ひと)。鈴音さんだ」
大きく重みのある手を鈴音の肩に乗せたまま、光吉に向かって紹介する。鈴音はカチコチになりながらも、深く頭を下げ、たどたどしく口を開いた。
「は、初めまして。山崎鈴音と申します」
喉が渇いて貼り付くようだったが、どうにか言葉を発することができたとホッとする。
「やぁ。今日を楽しみにいたよ。どうぞ座って」
すると、光吉は気さくな雰囲気で応え、それぞれが席に着いた。
席に落ち着くなり、光吉が忍に目を向け、口角を上げる。
「忍が選ぶ相手のわりに、ずいぶん若いじゃないか。意外だな」
「実年齢は関係ない。彼女は、すごくしっかりしているんだ」
鈴音の心臓は、落ち着いたレストランに反してものすごく騒がしい。なにか言おうとすれば、唇が震えてしまいそうだ。
それに比べ、忍は終始堂々としていて余裕すら感じられる。
(すごい。さすが、『ついて来い』だなんて言うだけある)
忍が隣にいてくれるから大丈夫だ、と少し安心し、肩の力を抜く。
その矢先、光吉が笑顔でとんでもないことを言い出した。
振り返ると、上質なスーツを纏った男が立っていた。
「ああ、忍。おまえも今来たのか?」
「少し前に」
忍の父・光吉(みつよし)は、還暦を過ぎているにもかかわらず、若々しい風貌だった。さらに、大企業のトップなだけあって、普通ではないオーラを感じる。
忍とはまた少し違う威圧感。鈴音は少々恐怖に似た緊張を感じ、委縮する。
忍は鈴音が圧倒されているのを察し、そっと肩を引き寄せた。
「彼女がオレの決めた女性(ひと)。鈴音さんだ」
大きく重みのある手を鈴音の肩に乗せたまま、光吉に向かって紹介する。鈴音はカチコチになりながらも、深く頭を下げ、たどたどしく口を開いた。
「は、初めまして。山崎鈴音と申します」
喉が渇いて貼り付くようだったが、どうにか言葉を発することができたとホッとする。
「やぁ。今日を楽しみにいたよ。どうぞ座って」
すると、光吉は気さくな雰囲気で応え、それぞれが席に着いた。
席に落ち着くなり、光吉が忍に目を向け、口角を上げる。
「忍が選ぶ相手のわりに、ずいぶん若いじゃないか。意外だな」
「実年齢は関係ない。彼女は、すごくしっかりしているんだ」
鈴音の心臓は、落ち着いたレストランに反してものすごく騒がしい。なにか言おうとすれば、唇が震えてしまいそうだ。
それに比べ、忍は終始堂々としていて余裕すら感じられる。
(すごい。さすが、『ついて来い』だなんて言うだけある)
忍が隣にいてくれるから大丈夫だ、と少し安心し、肩の力を抜く。
その矢先、光吉が笑顔でとんでもないことを言い出した。