契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
「もしもし。なんだ? ……まったく、仕方ないな。わかった。今からそこへ行くから待っていろ」
仕事ではなさそうな雰囲気の電話。その相手と親し気な様子を、初対面の鈴音ですら感じ取る。
(奥さんかな?)
電話をしているときからずっと、つい光吉を見てしまっていた。鈴音は光吉と視線がぶつかると、気まずくなって咄嗟に目を落とす。
「すまないが急用が入った。あとはふたりでゆっくりしていけ。支払いは済ませておく」
「わかった」
光吉は言うや否や席を立ち、出口へ足を向ける。忍はひとこと返すだけだったが、鈴音は慌てて立ち上がり、頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
忍が驚いて鈴音を見上げる。光吉も同じように、少しびっくりした顔をして振り返っていた。
そして光吉は鈴音の姿を見つめ、閃いたように笑顔を見せる。
「ああ、そうだ」
テーブルに一歩近づいた光吉に、忍はやや鬱陶しそうな表情で短く尋ねる。
「なに?」
「近々、西城戸(にしきど)グループのパーティーがあって、それに招待されているんだが。そこに鈴音さんも同席してもらったらどうだ? 挨拶がてら顔を覚えてもらうにはいい機会だし、明理(あかり)にも声をかけるつもりだ」
(西城戸? 明理っていうのは女の人の名前だよね?)
鈴音は人物構成がわからず、首を傾げる。だが、婚約者ということをお披露目する意味でのパーティー出席ということは理解した。
もちろん、鈴音はそんな話、乗り気ではない。できれば今後ずっと、派手な場は遠慮する方法を考えたいくらいだ。
「ああ。そうさせてもらえるならそうしよう。な、鈴音」
「えっ……は、はい」
鈴音の気持ちとは裏腹に、忍はふたつ返事でOKする。
(まぁ、これだけ大きくて有名な会社だから、こういうことは避けて通れないんだろうなとは思ったけれど)
それでも、一度相談してくれてもいいのに、とこっそり口を尖らせる。
仕事ではなさそうな雰囲気の電話。その相手と親し気な様子を、初対面の鈴音ですら感じ取る。
(奥さんかな?)
電話をしているときからずっと、つい光吉を見てしまっていた。鈴音は光吉と視線がぶつかると、気まずくなって咄嗟に目を落とす。
「すまないが急用が入った。あとはふたりでゆっくりしていけ。支払いは済ませておく」
「わかった」
光吉は言うや否や席を立ち、出口へ足を向ける。忍はひとこと返すだけだったが、鈴音は慌てて立ち上がり、頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
忍が驚いて鈴音を見上げる。光吉も同じように、少しびっくりした顔をして振り返っていた。
そして光吉は鈴音の姿を見つめ、閃いたように笑顔を見せる。
「ああ、そうだ」
テーブルに一歩近づいた光吉に、忍はやや鬱陶しそうな表情で短く尋ねる。
「なに?」
「近々、西城戸(にしきど)グループのパーティーがあって、それに招待されているんだが。そこに鈴音さんも同席してもらったらどうだ? 挨拶がてら顔を覚えてもらうにはいい機会だし、明理(あかり)にも声をかけるつもりだ」
(西城戸? 明理っていうのは女の人の名前だよね?)
鈴音は人物構成がわからず、首を傾げる。だが、婚約者ということをお披露目する意味でのパーティー出席ということは理解した。
もちろん、鈴音はそんな話、乗り気ではない。できれば今後ずっと、派手な場は遠慮する方法を考えたいくらいだ。
「ああ。そうさせてもらえるならそうしよう。な、鈴音」
「えっ……は、はい」
鈴音の気持ちとは裏腹に、忍はふたつ返事でOKする。
(まぁ、これだけ大きくて有名な会社だから、こういうことは避けて通れないんだろうなとは思ったけれど)
それでも、一度相談してくれてもいいのに、とこっそり口を尖らせる。