契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
やや感情的な口調で言い放ち、すぐさま立ち上がろうとした。すると真っ先に忍が鈴音の手首を捕え、席を離れることを阻止する。
引き留められることなど想定もしていなかった鈴音は、驚いて忍を見つめた。
「鈴音は肉が好きだと聞いた。だから、メインはそれに合わせてオーダーしてある。オレの好意を無駄にする気か?」
忍は鈴音に顔を近づけ、声を落とす。それを聞いて、鈴音はときめくどころか怪訝そうに眉を顰めた。
昨日の柳多とのやりとりを思い出したからだ。
(やっぱり、プライドが高い人なんだ)
鈴音は辟易にも似た思いを抱き、失笑する。
「まさか、食べ物の嗜好まで調べられていたなんて」
「初めはどうでもいいような情報だとは思ったんだけどな。何度か鈴音と会って、やたら細い腕とか担いだときのあまりの軽さが衝撃で。ちゃんと食ってるのか?」
重ね重ね失礼な態度を取っているにもかかわらず、心配するような言葉が飛んできて一驚する。けれど、この程度のことでは鈴音も簡単に心を開かない。
「……ご心配なく。朝昼晩、欠かさず食べていますから」
ツンとして冷たい返事をした鈴音だが、あろうことかここでお腹から間抜けな音を出してしまった。タイミングがタイミングなだけに、鈴音も顔から火が出る。
それにも関わらず、忍はひとこと「そうみたいだな」とクールな声で返した。
(確かに生意気な態度は取ったけど、恥をかいている女性に対してその反応はあんまりだ)
手にグッと力を入れて握り、深く俯く。右手はまだ忍に掴まれたまま。
宙に浮いていた手を、そっと膝の上に戻される。ゆっくり離れていく忍の手と同時に、ちらりと顔を窺った。
鈴音の瞳に映った忍は、可笑しそうに眉尻を下げていた。
引き留められることなど想定もしていなかった鈴音は、驚いて忍を見つめた。
「鈴音は肉が好きだと聞いた。だから、メインはそれに合わせてオーダーしてある。オレの好意を無駄にする気か?」
忍は鈴音に顔を近づけ、声を落とす。それを聞いて、鈴音はときめくどころか怪訝そうに眉を顰めた。
昨日の柳多とのやりとりを思い出したからだ。
(やっぱり、プライドが高い人なんだ)
鈴音は辟易にも似た思いを抱き、失笑する。
「まさか、食べ物の嗜好まで調べられていたなんて」
「初めはどうでもいいような情報だとは思ったんだけどな。何度か鈴音と会って、やたら細い腕とか担いだときのあまりの軽さが衝撃で。ちゃんと食ってるのか?」
重ね重ね失礼な態度を取っているにもかかわらず、心配するような言葉が飛んできて一驚する。けれど、この程度のことでは鈴音も簡単に心を開かない。
「……ご心配なく。朝昼晩、欠かさず食べていますから」
ツンとして冷たい返事をした鈴音だが、あろうことかここでお腹から間抜けな音を出してしまった。タイミングがタイミングなだけに、鈴音も顔から火が出る。
それにも関わらず、忍はひとこと「そうみたいだな」とクールな声で返した。
(確かに生意気な態度は取ったけど、恥をかいている女性に対してその反応はあんまりだ)
手にグッと力を入れて握り、深く俯く。右手はまだ忍に掴まれたまま。
宙に浮いていた手を、そっと膝の上に戻される。ゆっくり離れていく忍の手と同時に、ちらりと顔を窺った。
鈴音の瞳に映った忍は、可笑しそうに眉尻を下げていた。