契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
早番は午後六時までの勤務だ。
忍に釘を刺されたのもあり、残業をしないよう気を張っていた。
上がる時間になったのを腕時計で確認し、鈴音は颯爽と売り場をあとにする。急いで着替えを済ませると、メイクだけ軽く直して裏口に向かった。
外に出たタイミングで、忍の車が角を曲がってやってきた。
「わざわざ迎えにきていただいて、すみません」
「他人行儀な態度はそれで一旦終わらせろ。時間がない。行くぞ」
忍の涼しい目元を見た矢先、アクセルを踏まれ、あたふたとシートベルトを締める。
(『一旦終わらせろ』って言ったって。いきなり馴れ馴れしくはできないよ)
小さく息を吐き、視線を手元に落とす。すると、突然忍が鈴音の頭に手を置いた。
「今日は前回と比べると長丁場だ。頑張れよ」
大きくて安心する温もりのある手。
鈴音は惚けた顔を忍に向けた。
「なにか言われて困ったときは、オレが助けるから心配するな。なるべくそばにいてやるから」
そして続けられた言葉に、不覚にも胸がときめいてしまう。鈴音は赤く染まる頬を隠すように、窓へ首を回した。過ぎ去る景色も見ずに、ひたすら気持ちを落ち着かせることに集中する。
(違う違う。今のは、ビジネスパートナーとしての言葉。それ以上でも以下でもないんだから)
ドクドクと騒ぐ心臓に言い聞かせるように、何度も心の中で繰り返す。
それでも、『そばにいてやる』と言った忍の声がなかなか頭から離れなかった。
忍に釘を刺されたのもあり、残業をしないよう気を張っていた。
上がる時間になったのを腕時計で確認し、鈴音は颯爽と売り場をあとにする。急いで着替えを済ませると、メイクだけ軽く直して裏口に向かった。
外に出たタイミングで、忍の車が角を曲がってやってきた。
「わざわざ迎えにきていただいて、すみません」
「他人行儀な態度はそれで一旦終わらせろ。時間がない。行くぞ」
忍の涼しい目元を見た矢先、アクセルを踏まれ、あたふたとシートベルトを締める。
(『一旦終わらせろ』って言ったって。いきなり馴れ馴れしくはできないよ)
小さく息を吐き、視線を手元に落とす。すると、突然忍が鈴音の頭に手を置いた。
「今日は前回と比べると長丁場だ。頑張れよ」
大きくて安心する温もりのある手。
鈴音は惚けた顔を忍に向けた。
「なにか言われて困ったときは、オレが助けるから心配するな。なるべくそばにいてやるから」
そして続けられた言葉に、不覚にも胸がときめいてしまう。鈴音は赤く染まる頬を隠すように、窓へ首を回した。過ぎ去る景色も見ずに、ひたすら気持ちを落ち着かせることに集中する。
(違う違う。今のは、ビジネスパートナーとしての言葉。それ以上でも以下でもないんだから)
ドクドクと騒ぐ心臓に言い聞かせるように、何度も心の中で繰り返す。
それでも、『そばにいてやる』と言った忍の声がなかなか頭から離れなかった。