契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
ついこの間訪れたホテルカメリアに、また足を踏み入れるとは思っていなかった。
鈴音は、Aラインのストラップレスネックシフォンドレスを纏い、ふかふかな絨毯にヒールを沈ませる。足首まである裾をふわりと波立たせ、忍と向き合った。
「どこかの令嬢って言っても、十分通用するな」
「それはドレスやアクセサリーの効果です」
鮮やかなロイヤルブルーのドレスと、白く美しいビーズのベルト。レースのようなデザインのネックレスはスワロフスキー。細長いドロップ型のイヤリングもペアになっていて、光を集めて輝いている。
それらの衣装は、今回も忍が用意していた。それはメイクも同様。
最後の仕上げは、忍が華やかなコーラルのリップを鈴音の唇に塗った。
「まぁ、すぐにわかる」
「え?」
忍が得意げに短く笑いを零し、会場入口へゆっくり歩き進める。
「今日は西城戸株式会社の創立三十周年と新商品お披露目会だ。〝ミルキィ〟という業務用ヘア化粧品がこの会社の顔。聞いたことあるだろ」
「あ。美容院でよく見る……」
「そう。それだ。親父と向こうの社長が古くから交流あるみたいで、うちの会社とは取引会社でもある」
鈴音は後を追いながら、忍の説明した商品を思い浮かべた。
多くの美容院で見かけるヘアケア商品だ。それだけ美容業界に浸透している大企業ならば、来客の数や質はすごいのだろうと、鈴音は尻込みしてしまう。
鈴音が足を止めると、忍も立ち止まり、振り返る。
「で、美容関係の会社の奴らが集まってるであろうパーティーだ。が、見劣りするどころか、たぶん目立つはずだ」
「は? なにが……」
「鈴音だよ」
鈴音が訝し気な顔で尋ねると、忍はあっけらかんと答える。ややしばらく、ぽかんと忍を見上げていたが、ハッとして言い返した。
「なに言っ……」
「そろそろ入るぞ。摑まってろ」
しかし、忍のペースに翻弄され、言いたいことも飲み込んでしまう。
忍に右手を取られ、腕に添わされる。すぐに忍がドアを押し開け、改めて覚悟をする間もなく会場に入ることになってしまった。
鈴音は、Aラインのストラップレスネックシフォンドレスを纏い、ふかふかな絨毯にヒールを沈ませる。足首まである裾をふわりと波立たせ、忍と向き合った。
「どこかの令嬢って言っても、十分通用するな」
「それはドレスやアクセサリーの効果です」
鮮やかなロイヤルブルーのドレスと、白く美しいビーズのベルト。レースのようなデザインのネックレスはスワロフスキー。細長いドロップ型のイヤリングもペアになっていて、光を集めて輝いている。
それらの衣装は、今回も忍が用意していた。それはメイクも同様。
最後の仕上げは、忍が華やかなコーラルのリップを鈴音の唇に塗った。
「まぁ、すぐにわかる」
「え?」
忍が得意げに短く笑いを零し、会場入口へゆっくり歩き進める。
「今日は西城戸株式会社の創立三十周年と新商品お披露目会だ。〝ミルキィ〟という業務用ヘア化粧品がこの会社の顔。聞いたことあるだろ」
「あ。美容院でよく見る……」
「そう。それだ。親父と向こうの社長が古くから交流あるみたいで、うちの会社とは取引会社でもある」
鈴音は後を追いながら、忍の説明した商品を思い浮かべた。
多くの美容院で見かけるヘアケア商品だ。それだけ美容業界に浸透している大企業ならば、来客の数や質はすごいのだろうと、鈴音は尻込みしてしまう。
鈴音が足を止めると、忍も立ち止まり、振り返る。
「で、美容関係の会社の奴らが集まってるであろうパーティーだ。が、見劣りするどころか、たぶん目立つはずだ」
「は? なにが……」
「鈴音だよ」
鈴音が訝し気な顔で尋ねると、忍はあっけらかんと答える。ややしばらく、ぽかんと忍を見上げていたが、ハッとして言い返した。
「なに言っ……」
「そろそろ入るぞ。摑まってろ」
しかし、忍のペースに翻弄され、言いたいことも飲み込んでしまう。
忍に右手を取られ、腕に添わされる。すぐに忍がドアを押し開け、改めて覚悟をする間もなく会場に入ることになってしまった。