契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
「ひとりか? 母さんは?」
「ヘアセットに時間がかかってるみたい」
「あの人は身なりを気にする人だからな……」
「私はそういうところ、嫌いじゃないんだけどね。お父様はやっぱり待ちきれないようだけど」
鈴音は、忍に妹がいて仲良さそうに話をしているということが新鮮で、思わず凝視してしまう。鈴音の食い入るような視線に、明理はクスッと笑った。
「こんばんは。黒瀧明理と申します」
「こ、こんばんは。山崎鈴音です」
愛嬌のある笑顔は、忍に対して感じるような緊張もなく、穏やかな空気を纏っていた。最近緊張続きだったせいもあり、ギャップがすごくてしどろもどろになる。
明理は柔らかく目を細め、鈴音を見つめる。
「お話は父から伺いました。兄をよろしくお願いします」
「えっ。あっ、いや……はい」
忍の妹に仰々しくお辞儀をされ、鈴音はこの上なく困惑する。そんな鈴音の様子に、明理は「ふふっ」と笑いを零した。
鈴音は明理に笑われ、不安な顔を見せる。
「ごめんなさい。正直、兄のお相手になる方は、もっと違うタイプを覚悟していたもので。意外な雰囲気の方で、ちょっと驚きました」
けれど、明理の表情からはまったく嫌悪感など感じられない。
鈴音はぽかんとして、なにも発せずただ立っていた。
明理の言っていた意味が、わかるようでわからなかったからだ。
それについて訊き返せるわけもなく呆然とする鈴音に、明理は今度は花が咲いたような可愛らしい笑顔を向ける。
「どうか、これから私とも仲良くしてくださいね。お義姉さん」
「おっ、おねえ……」
どぎまぎとして口を開いた瞬間、会場の照明がふっと消えた。
「ヘアセットに時間がかかってるみたい」
「あの人は身なりを気にする人だからな……」
「私はそういうところ、嫌いじゃないんだけどね。お父様はやっぱり待ちきれないようだけど」
鈴音は、忍に妹がいて仲良さそうに話をしているということが新鮮で、思わず凝視してしまう。鈴音の食い入るような視線に、明理はクスッと笑った。
「こんばんは。黒瀧明理と申します」
「こ、こんばんは。山崎鈴音です」
愛嬌のある笑顔は、忍に対して感じるような緊張もなく、穏やかな空気を纏っていた。最近緊張続きだったせいもあり、ギャップがすごくてしどろもどろになる。
明理は柔らかく目を細め、鈴音を見つめる。
「お話は父から伺いました。兄をよろしくお願いします」
「えっ。あっ、いや……はい」
忍の妹に仰々しくお辞儀をされ、鈴音はこの上なく困惑する。そんな鈴音の様子に、明理は「ふふっ」と笑いを零した。
鈴音は明理に笑われ、不安な顔を見せる。
「ごめんなさい。正直、兄のお相手になる方は、もっと違うタイプを覚悟していたもので。意外な雰囲気の方で、ちょっと驚きました」
けれど、明理の表情からはまったく嫌悪感など感じられない。
鈴音はぽかんとして、なにも発せずただ立っていた。
明理の言っていた意味が、わかるようでわからなかったからだ。
それについて訊き返せるわけもなく呆然とする鈴音に、明理は今度は花が咲いたような可愛らしい笑顔を向ける。
「どうか、これから私とも仲良くしてくださいね。お義姉さん」
「おっ、おねえ……」
どぎまぎとして口を開いた瞬間、会場の照明がふっと消えた。