契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
それから数日後。
鈴音は忍と一緒に自分の母親の元へ行き、挨拶を済ませた。
忍の家や肩書きを聞いた両親は驚いていた。だが、鈴音が懸命に忍の人柄を説明する姿を見て、母親は『思い合っているのだな』と安堵した顔をみせた。
そして、鈴音もまた、そんな母親の表情を見てホッとしていた。
「ずいぶん、気を遣っていたな」
実家をあとにして、並んで歩いていた忍が言った。
鈴音は目を丸くさせ、「ぷっ」と吹き出す。
「それはそうですよ。忍さんみたいなすごい人を、ごく一般的な我が家に連れてきたんですから」
結婚の挨拶と言えば、ただでさえ構えてしまうものなのに、相手が大手企業の副社長だ。両親の驚きを汲んで、忍に対しての親しみやすさをアピールしなければとは、前々から考えていた。
鈴音は自分の準備が功を奏し、両親ともに最後は忍と打ち解けていたのを思い出す。
すると、忍が苦笑した。
「いや、オレにじゃなくて。母親に」
「えっ?」
「ハッキリ言葉にはしていなくても、『心配しないでいいから』っていう鈴音の気持ちがひしひしと伝わる感じだった」
忍に指摘され、鈴音は一瞬恥ずかしくなった。
そんなにあからさまに感情が出ていたのなら、母にも気づかれていただろう。そう思うと、自分はまだ子どもなのだなと思ったのだ。
けれど、母がその思いを察していたとしてもいい、と開き直る。
「忍さんは、もう知っているじゃないですか。初めに言われた通りです。母は再婚して幸せに暮らしているんですよ。私はその邪魔になりたくないから」
鈴音は街並みに沈みかけている夕陽を見つめ、穏やかな顔で言った。
忍は鈴音の横顔を瞳に映す。なぜかわからないが、夕陽に照らされる鈴音をずっと見ていたい気分だった。
忍は少しして、ぼそっと呟く。
鈴音は忍と一緒に自分の母親の元へ行き、挨拶を済ませた。
忍の家や肩書きを聞いた両親は驚いていた。だが、鈴音が懸命に忍の人柄を説明する姿を見て、母親は『思い合っているのだな』と安堵した顔をみせた。
そして、鈴音もまた、そんな母親の表情を見てホッとしていた。
「ずいぶん、気を遣っていたな」
実家をあとにして、並んで歩いていた忍が言った。
鈴音は目を丸くさせ、「ぷっ」と吹き出す。
「それはそうですよ。忍さんみたいなすごい人を、ごく一般的な我が家に連れてきたんですから」
結婚の挨拶と言えば、ただでさえ構えてしまうものなのに、相手が大手企業の副社長だ。両親の驚きを汲んで、忍に対しての親しみやすさをアピールしなければとは、前々から考えていた。
鈴音は自分の準備が功を奏し、両親ともに最後は忍と打ち解けていたのを思い出す。
すると、忍が苦笑した。
「いや、オレにじゃなくて。母親に」
「えっ?」
「ハッキリ言葉にはしていなくても、『心配しないでいいから』っていう鈴音の気持ちがひしひしと伝わる感じだった」
忍に指摘され、鈴音は一瞬恥ずかしくなった。
そんなにあからさまに感情が出ていたのなら、母にも気づかれていただろう。そう思うと、自分はまだ子どもなのだなと思ったのだ。
けれど、母がその思いを察していたとしてもいい、と開き直る。
「忍さんは、もう知っているじゃないですか。初めに言われた通りです。母は再婚して幸せに暮らしているんですよ。私はその邪魔になりたくないから」
鈴音は街並みに沈みかけている夕陽を見つめ、穏やかな顔で言った。
忍は鈴音の横顔を瞳に映す。なぜかわからないが、夕陽に照らされる鈴音をずっと見ていたい気分だった。
忍は少しして、ぼそっと呟く。