結構な腕前で!
「やぁ萌実ちゃん。今日のお菓子は何?」
部室に入るなり、せとみが声をかける。
「今日は前の白玉団子の粉が残ってるので、それの黒蜜あえです」
リュックの中から黒蜜のボトルときなこを見せると、せとみは台所の棚に目をやった。
「萌実ちゃんが入ってから、手作りお菓子が多くなって嬉しいね」
「今までは、なかったんですか?」
「ないね。前の白玉団子作りでわかったろ?」
前にぜんざいに入れる白玉団子を作ったとき、せとみとはるみが手伝ってくれたのだが、全く使えなかったのだ。
「白玉団子をあんだけ不格好に作れるのには驚きました」
「言うねぇ。でっかく作ったほうが、茹でるのも楽だと思ったんだけどね。いっぱい食べられるし」
「あんまり大きくしたら、中まで火、通らないです。量が欲しいなら普通サイズのをいっぱい食べればいい話じゃないですか」
「一個一個掬って食べるのは面倒じゃん」
何だかんだと言いながらも、せとみは鍋に水を入れて火にかける。
その間に、萌実はボウルに白玉粉を入れて、水を足して団子を作った。
そのとき、外を誰かが歩いてくる足音が聞こえた。
せとみが顔を上げ、廊下に顔を出して茶室の入り口を見る。
「はるかぁ。遅ぇぞ」
「何せとみ。珍しいじゃない」
萌実も少し身体を反らせて、廊下に顔を出した。
そこで、あれ、と思う。
せとみも同じように、廊下の先を見たまま動きを止めている。
「何、その人」
せとみが言う。
さっきせとみが『はるか』と言ったから、今来たのははるかだ。
その後ろに、柔道着の男がいる。
---てことは、さっき校舎で見たのは、はるか先輩ってことね---
にしても、ここに部外者が来るなど珍しい。
部室に入るなり、せとみが声をかける。
「今日は前の白玉団子の粉が残ってるので、それの黒蜜あえです」
リュックの中から黒蜜のボトルときなこを見せると、せとみは台所の棚に目をやった。
「萌実ちゃんが入ってから、手作りお菓子が多くなって嬉しいね」
「今までは、なかったんですか?」
「ないね。前の白玉団子作りでわかったろ?」
前にぜんざいに入れる白玉団子を作ったとき、せとみとはるみが手伝ってくれたのだが、全く使えなかったのだ。
「白玉団子をあんだけ不格好に作れるのには驚きました」
「言うねぇ。でっかく作ったほうが、茹でるのも楽だと思ったんだけどね。いっぱい食べられるし」
「あんまり大きくしたら、中まで火、通らないです。量が欲しいなら普通サイズのをいっぱい食べればいい話じゃないですか」
「一個一個掬って食べるのは面倒じゃん」
何だかんだと言いながらも、せとみは鍋に水を入れて火にかける。
その間に、萌実はボウルに白玉粉を入れて、水を足して団子を作った。
そのとき、外を誰かが歩いてくる足音が聞こえた。
せとみが顔を上げ、廊下に顔を出して茶室の入り口を見る。
「はるかぁ。遅ぇぞ」
「何せとみ。珍しいじゃない」
萌実も少し身体を反らせて、廊下に顔を出した。
そこで、あれ、と思う。
せとみも同じように、廊下の先を見たまま動きを止めている。
「何、その人」
せとみが言う。
さっきせとみが『はるか』と言ったから、今来たのははるかだ。
その後ろに、柔道着の男がいる。
---てことは、さっき校舎で見たのは、はるか先輩ってことね---
にしても、ここに部外者が来るなど珍しい。