結構な腕前で!
「ったく、何じゃれてんだ! ちんたらやってんじゃねぇよ!」

 地を蹴り、大きく振りかぶった扇で、煙を両断する。
 ばらばらばらっと煙は塊になって辺りに降り注いだ。
 土門の抱えていた部分も、ぼろぼろと崩れる。

「ははっ! わかったか。お前の技なんざ、何の役にも立たねぇよ!」

 がくっと膝をついた土門の前に仁王立ちし、せとみは勝ち誇ったように、扇を開いて高笑いする。

「さ、邪魔者はとっとと出ていけ。奴らだって一匹二匹じゃねぇんだ。一匹にそんな手こずるようなら、道場解放なんざ足手まといなだけだしな」

 げしげしと容赦なく土門の巨体を足蹴にしていたせとみの前で、その巨体がぐらりと揺れた。
 そのまま、どさ、と倒れ込む。
 見ると真っ青だ。

「あ~あ。やっぱりですね。これだから素人は」

 やれやれ、と言うように、せとかがようやく立ち上がった。
 土門の傍に行くのかと思いきや、巨体を跨いで部屋を出ていく。

「ちょ、先輩っ!」

 倒れている者を蹴る勢いで跨いだせとかに仰天し、萌実は思わず叫んだ。
 いくら何でもこんな人を好いている自分はどうなのか、と思っていると、変わらず少し後ろにいたはるみが、ぽん、と萌実の肩に手を置いた。

「大丈夫だって。せとかはあっちの結界部屋に、お布団敷きに行っただけだから」

「え、お、お布団?」

「結界部屋は安心だし。ほら、せとかがぶっ倒れたとき用のお布団があるでしょ」

「あ、なるほど……」

 土門を見捨てたわけではないのだ、と安心し、萌実ははるみと共に煙の回収に当たった。

「邪魔だなぁ。何しに来たんだよ、こいつは」

 苛々した様子で、せとみが腕組みして土門を見下ろしていると、せとかが帰ってきた。

「僕の布団に他人を寝かすのは嫌ですが、しょうがないですね。というよりも、それ以前にこの巨体をどうやって運びましょうか」
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