結構な腕前で!
---前はせとか先輩だって思ったのに、やっぱりせとみ先輩が話しかけてくると、そっちに引き込まれるよぅ---

 この調子でせとみに告白などされようものなら、うっかりOKしてしまいそうだ。
 何と言っても二人は同じ顔である。
 別に好かれているわけでもないと思うが。

「あ、何か捕獲されてる~」

「何か出たの?」

「「私たちがいないうちに~」」

 はるかとはるみが、部屋の隅に伏せられた茶碗に気付いて声を上げる。
 中を見なくても、それが何がわかるようだ。

「壺じゃないのに、よく封じられたな」

 せとみが茶碗に近付いて言った。

「ああ、南野さんが捕獲したので」

 お湯を茶碗に入れながら、せとかが言う。
 ちらりと、せとみの目が萌実に移った。

「なるほど、睨んだ通りだな」

「「素晴らしいです~」」

 頷くせとみと、ぱちぱちと手を叩く女子二人は、明らかに萌実に向かっている。
 何のことやらわからず、萌実はきょとんとした。

「南野さんが僕らのところに来たのは、まぁ必然なんですよ」

 騒がしい空気をものともせず、せとかが点てた茶をせとみの前に置く。
 感心するほどマイペースだ。

「え? え?」

「つまり、運命ってことだよ」

 少し萌実に身体を寄せて、せとみがまたも微笑みかける。
 うわぉ、と心の中で叫び、萌実は過剰に反応しそうになる身体を必死で支えた。
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