結構な腕前で!
「こいつらがいっつも壺に魔を回収していくだろ? あの壺は、言ってしまえば小さい宇宙なんだ」

「ええ?」

「あの中に魔を閉じ込めることによって、元いたところに帰すっていうかね」

「封じてるだけかと思ってた」

 萌実が感心したように言うと、せとみは、あはは、と笑った。

「封じるだけなら、あっという間に壺だらけになるだろ。そんなもの、いつまでも保管できないよ」

 なるほど、つまり……。

「北条先輩たちが攻撃して、橘先輩たちがそれを元に帰すってことですか」

「そう。あのね、俺たちの名前、何か気付かない?」

 にこにこと己を指すせとみに、萌実は首を傾げた。

「どっちも最後の文字が同じですね」

「そうじゃなくて。方角で言うとね、北って強いんだよ」

「強い?」

「魔の力っていうのかな。ほら、鬼門とかも北東でしょ。北と東が、『出る(来る)』ほう。逆に、南と西は『入る(去る)』ほう。太陽もそう」

 ふむふむ、と萌実は話に聞き入る。

「でね。皆それなりに、守護の力も持ってるわけ。俺たちの名前、せとみとせとか、あと顕著なのが、はるかとはるみの家だ。橘っていうのは、まんま、魔除けの家だよ」

 何か話が難しくなってきた。
 ちょっと困った顔で、じぃ、と見る萌実に、せとみは苦笑いをこぼす。

「まぁ、そういう家に育たなかったらわからないか。橘って、魔除けの効果があるんだ。紫宸殿にも植えられてるだろ。で、橘ってのはミカンのことだ。俺たちの名前、全員ミカンから来てるんだよ」
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