結構な腕前で!
「おかえり~」

 部室に入ると、はるかが土門にお茶を点てていた。
 そういえば土門はもっぱら掃除要員なので(何せ柔道部の前後しか来れないので、初めの掃除と後片付けが主になる)茶道部員であるにも関わらず、茶道に触れたことなどなかったのではないだろうか。
 もしかして部室に入るのも初めてではないか?(廊下とかの雑巾がけはよくしているが)

「いやぁ、心が落ち着いていいですなぁ。武人が茶道を極めたのもわかります」

 土門が茶碗を置いて、満足そうに言う。
 なかなか様になっているのは武芸者だからか。

「意外と筋が良さそうですね。茶菓子も問題なし。裏流派にぴったりですね」

 つまり、腕っぷしが良く、馬鹿でかいお菓子をぺろりと平らげるということ。
 その点を褒められても、あまり嬉しくないと思うのだが。
 が、土門は屈託なく笑う。

「こちらの部では、さして活躍できませぬ故、そう言って頂けると、わしもやる気が出ますわい」

「いやいや、貴重な人材ですよ」

 どこまで本気なんだか。
 はっはっは、と嘘くさい笑い声を上げ、せとかは裾を捌いて土門の横に座る。
 そして萌実も自分の横に促した。
 はるかが新たにお茶を点て、はるみが奥からせとかたちの茶菓子を運んでくる。

「せとみから連絡はありました?」

 手の平大の最中の皮に、缶詰のあんこを詰めながら、せとかが聞く。

「せとか。お団子も入れたほうがいいわよ。さすがにあんこだけじゃ、その量だと飽きると思うわ」

「あ、そうですね。欲を言えば餅のほうが良かったですが」

「普通のお餅じゃ食べにくいでしょ。折角皮がぱりぱりなのに」

 はるみの差し出す皿から白玉団子をひょいひょいと取り、せとかはあんこの上に載せていく。
 そしてさらに、その上にあんこを乗せて、ようやく皮で蓋をする。

 その様子を、萌実は胡乱な目で見つめた。
 あんこ大匙山盛り三杯ぐらいに白玉団子五つ。
 それをさらに大匙山盛り三杯ほどのあんこで包んだ最中である。
 運動してきたとはいえ、糖分採りすぎだろう。
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