結構な腕前で!
「あらだって。せとみ様を立たせたままなんて失礼になるじゃないですか」

「いいから! 俺のことは気にすんな」

 これ以上由梨花が妙なことを但馬に命じないうちに、せとみはその場に、どかっと胡坐をかいた。

「但馬。せとみ様の傘になりなさい」

 但馬が、さっとせとみの傍に立ち、飛び込む寸前の人のように、前のめりでせとみの頭上に両手を差し出す。

「いいっつーの! ていうか、あんた、ちょっと外してくれないか」

「あらっ」

 途端に由梨花が、ぽ、と頬を染めた。
 そしてどこかうきうきと、但馬に向かってひらひらと手を振る。

「ま、まぁ。二人っきりのほうがよろしいのね。じゃあ但馬、どこぞへ去りなさい」

 いや、そういう意味じゃない、と突っ込もうかと思ったが、ここで突っ込むとまた長くなりそうだ。
 とりあえずせとみは黙り、但馬は言われた通り、由梨花に頭を下げると去っていった。

「はぁ~……。相変わらず凄いよなぁ……」

 大きくため息をついて言うと、由梨花はまた首を傾げた。
 由梨花にとっては日常なので、この流れに何らおかしいことはないのだ。

「で? 何かわかったことでもあるのか?」

 話を戻すと、由梨花は肩を竦めた。

「これといっては。何となくわかったことは、神の子の力が最大になるのが、わたくしたちぐらいの年齢っていうところでしょうか。その時期に、贄になる」

「ふーん、やっぱりか。それに合わせて魔も最大になるんだな」

「それと、これは最近気付いたんですけど、びーちゃんたちの元気がないんですの」

「ん? どういうことだ?」

「自生している子たちが、何となく」

 ふむ、とせとみは屋上から茶道部のある山を眺めた。
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