結構な腕前で!
「でもさすがに穴の近くは、魔も多いでしょうし、空気も悪いと思いますわよ。穴を閉じる力と魔を滅する力は、おそらく別物。同時に発動できませんわ。どうするんですの?」

「びーちゃんを穴に放り込んだらどうだろう」

 せとみが言うと、由梨花は首を傾げた。

「意味ないような気がしますわ。元々穴の中とびーちゃんの作る空間は同じじゃなくて? まぁ多少びーちゃんのほうは吸い込む力があり、穴のほうは吐き出すというか、引っ張る力がない、という程度でしょうか。そういう違いはあるでしょうけど」

 退治した魔は壺の中の空間に帰す。
 ということは、言ってしまえばあの壺のでかい版が山にある、ということと同じだ。

 壺の場合は守りの力がある者が作るので、『帰す』という意味合いが強いのだろう。
 守りの者が作った壺から『出る』ことはない。

「そうかぁ。じゃあやっぱり、穴に守りの力を加えるのが一番いい方法だよな」

「そうですわね。それができれば、多分最強の壺になるでしょうし」

「そうか! 穴を萌実ちゃんの代わりにすればいいんだ。元々神の子が最強の壺になって、最終的に魔を滅してた。でも人が壺になるなんておかしいぜ。昔の人は、穴を見つけられなかったから神の子を使うしかなかったんだ」

「もしくは、穴を壺にする方法がない、ということも考えられますわよ」

 冷静な由梨花の突っ込みに、う、とせとみは口を噤んだ。
 穴は壺と違い、手を突っ込んで掻き混ぜれば出来上がり、という簡単なものではないだろう。
 下手すると落ちてしまう。

「せとみ様の、その考えは素晴らしいですけども。昔の人が穴を見つけられなかったというのはどうでしょう。元々そういう邪気の強いところにわたくしたちが集まるようになってますし、わたくしたちが簡単に見つけられたものを、今までの先人が見つけられなかったというのも無理がありますわ」

「昔の神の子は、そうそう外に出なかったのかもしれないぜ」

 それこそ神として崇められていたのだろうし、そういうものは、祠のようなところの奥深くで暮らしているイメージだ。
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