結構な腕前で!
「わたくしはそれよりも、今までは、あなたの兄君のような能力者がいなかったのではないかと思うの」

 ぴ、と由梨花が手を出すと、どこからか但馬が、ささっとその手に古めかしい冊子を乗せる。
 ついさっきまで本当に姿がなかったのに、呼ばれたわけでもないのに由梨花の動作だけで現れる。
 つくづく不思議で不気味なお付きだ。
 ついでに由梨花に冊子を渡すと、またどこかへ姿を消してしまった。

「調べた限りでは、あれほどの妙ちくりんな力の持ち主というものは見当たりませんの」

 一般人は大いに突っ込みたい但馬の行動も当たり前のように気にせず、由梨花は冊子をぺらぺらとめくって言った。

「大体神の子と対になるような力の持ち主がいたら、昔からうちとも関りがあるはずです。でもわたくしが調べた限りでは、北条家も橘家もこちら側に記録はなかった。あるときから出現したのか、わけあって関わらないようにしていたのか」

「うちはそんな旧家じゃないぜ」

「そうなんですの。昔から、魔と関わってきたわけじゃなかったんですの?」

「そんな昔からある家なら、うちにもそれなりの資料があるはずだろ。何となくだが、うちは徐々に力が強くなっていったんじゃねぇかな。で、今がMAX」

 力が強くなるにつれて、人より魔が見えるようになったのだろう。
 そして、打ち払う術も習得した。

「うちは多分、じいさんの代ぐらいではっきりと裏流派として魔対策をしたぐらいだぜ。明らかにそういう力が見えたのが、それぐらいなんだろうさ」

「なるほど、不思議ですわね。初代神の子の力は二分されたのに、壺だけがずっと使命を果たしていたってこと?」

「攻撃系の力は、細かく薄く伝わったんじゃないか? だからそっちのほうが、人数が多い。たまにある霊能者って奴も、その類だろ。壺は特殊だから、力もそう広く伝わらないんだと思う。はるかたちは、うちとの縁戚関係で力が現れたんじゃないか?」

「そうですわね。本来神の子は突然変異みたいなもので、いきなり現れるようですから。壺のほうは、いきなり現れる種類の力なんでしょう。せとみ様のお話で、随分わかってきましたわね」

 にこりと由梨花が艶やかに笑う。
 ちょっとせとみは照れ臭そうに視線を逸らせた。
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