結構な腕前で!
「きゃ!」
つんのめったはるかが、派手に転ぶ。
靴を地面に縫い付けているのは花鋏だ。
「但馬」
由梨花が顎をしゃくると、さっと但馬が風のように駆け出し、はるかを羽交い絞めにして茶室の中へ連れ戻してきた。
せとみとはるみは、呆気に取られてその様子を眺めた。
投げた鋏を、踵を傷付けることなく靴のみに突き刺す技術も大したものだが、相変わらず但馬の忠犬っぷりにも驚かされる。
「は、離してよ!」
但馬に捕まえられたまま、じたばたと暴れるはるかに、由梨花は鬱陶しそうな顔を向け、再度但馬に顎をしゃくった。
「但馬。面倒だから、動けないように足でも折っておきなさい」
ぴた、とはるかが動きを止める。
せとみとはるみがぎょっとしているうちに、但馬はささっと、はるかの足に手を添えた。
「わーっ! ちょっと待て! おい、やめろ!!」
せとみが血相を変えて、はるかに駆け寄る。
ぱし、と扇を閉じる音が、背後から聞こえた。
「但馬、おやめ」
由梨花の一声で、但馬は動きを止める。
全くもってこの男の忠犬っぷりは常軌を逸している。
何か、どっと疲労がせとみを襲った。
「冗談ですわよ。そのような恐ろしいこと、わたくしがするわけないでしょう?」
ほほほ、と笑うが、せとみもはるみも胡乱な目を向ける。
由梨花がやらなくても、但馬はやるのだ。
はるかは最早土門を追う気力もなくしたようで、その場にへたり込んでいる。
つんのめったはるかが、派手に転ぶ。
靴を地面に縫い付けているのは花鋏だ。
「但馬」
由梨花が顎をしゃくると、さっと但馬が風のように駆け出し、はるかを羽交い絞めにして茶室の中へ連れ戻してきた。
せとみとはるみは、呆気に取られてその様子を眺めた。
投げた鋏を、踵を傷付けることなく靴のみに突き刺す技術も大したものだが、相変わらず但馬の忠犬っぷりにも驚かされる。
「は、離してよ!」
但馬に捕まえられたまま、じたばたと暴れるはるかに、由梨花は鬱陶しそうな顔を向け、再度但馬に顎をしゃくった。
「但馬。面倒だから、動けないように足でも折っておきなさい」
ぴた、とはるかが動きを止める。
せとみとはるみがぎょっとしているうちに、但馬はささっと、はるかの足に手を添えた。
「わーっ! ちょっと待て! おい、やめろ!!」
せとみが血相を変えて、はるかに駆け寄る。
ぱし、と扇を閉じる音が、背後から聞こえた。
「但馬、おやめ」
由梨花の一声で、但馬は動きを止める。
全くもってこの男の忠犬っぷりは常軌を逸している。
何か、どっと疲労がせとみを襲った。
「冗談ですわよ。そのような恐ろしいこと、わたくしがするわけないでしょう?」
ほほほ、と笑うが、せとみもはるみも胡乱な目を向ける。
由梨花がやらなくても、但馬はやるのだ。
はるかは最早土門を追う気力もなくしたようで、その場にへたり込んでいる。