結構な腕前で!
「ではそろそろ帰りましょう」

 その後は特に魔が現れることなく、通常の部活を終えたせとかが、三人に声をかけた。

「結局せとみは来なかったわね」

「ほんと、裏部長のくせに」

「「食べ物に関する拘りが強すぎるのよね~」」

 食べ物、というより茶菓子のような。
 茶道家としては正しい姿勢なのだろうか。

「僕は一応せとみを探して帰りますが。はるか、どうします?」

「えー? 今日は明日のお菓子を買いに行こうと思ってたんだけど」

 珍しく、はるかが単体で喋った、と思い、萌実は、あれ、と思った。
 何でせとかはわざわざはるかを誘うのだ?

「じゃあ、私が買いに行っておくわ。萌実さん、一緒に行く?」

 はるみが鞄を持って萌実を見る。
 何かそれぞれ役割があるようだ。
 自分だけ何もしないのは何となく居心地が悪い。

「あ、じゃあご一緒します」

 てことは、こっちははるみだ、と頭に刻んで、萌実も鞄を持った。

「じゃあね、はるか。ちゃんとせとみを連れて帰るのよ」

「もー、何で私なの」

 二人それぞれで喋ることもあるんだな、と妙なところで感心している萌実を連れて、はるみは何やら意味ありげな笑みを残し、部室を出た。
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