結構な腕前で!
「橘先輩は? 先輩たちは、あんまり北条先輩たちと引っ付いてもないですけど、いつも二人一緒じゃないですか。何だか全てが同じで、好きな人まで被りそう」

「ああ、それはよく言われるのよね。双子って何から何まで一緒って思われがちだけど、実際はそうでもないのよ。私たちは、顔も瓜二つだし性格も、まぁ似てるけど、趣味は違うの」

「そうなんですか」

 学校では制服なので、趣味の違いはわからない。
 同じ学年の同じクラスでもないので、細かい持ち物も目につかないのだ。

「せとかたちも違うと思うよ? あそこは性格も全く全然違うけどね」

「ああ……確かに」

 顔立ちはそっくりだ。
 が、雰囲気も性格も真逆といっていい。

「せとかもちょっとはその辺、気を付ければいいのに。萌実さんだって、このままじゃ彼氏もできないじゃんね?」

 ほぅっとため息をつくはるみに、萌実は、いえいえ、と否定しつつ曖昧に笑った。

「わ、私はまぁいいんですけど。せとか先輩だって条件は同じですし」

「せとかにそんな心配はいらないわよ。普段はぼーっとしてるしね。人と関わるのが、あんまり得意じゃないのよね。だから変に存在感も薄いの。まぁ特殊なことしてるから、人と遠くなるってのも、わかるんだけどね」

「せとみ先輩は、それも楽しんでそうですけど」

「そうねぇ。せとみは普通の喧嘩みたいなもんだから。せとかはちょっと違うでしょ。内在する力が強いっていうのは、人から見たら超能力みたいで厄介よ」

 なるほど、下手に周りに見せる力ではないってことか。

「先輩、何か苦労してるんですねぇ」

 ほろり、と内心涙を拭いつつ言うと、はるみがきょとんとした。
 そして、あはは、と笑い声をあげる。
< 78 / 397 >

この作品をシェア

pagetop