初恋のキミは最愛ヒーロー
素直に話すことは、アイツに辛い過去を思い出させることに繫がる。
桃舞を二度と危険な目に遭わせたくない。
だから、俺が出来ることは…
紅月の復讐に、桃舞や碧瀬を巻き込まないように一人で解決すること。
あの時のように、相手に暴力は振るわないように、話し合いで止めたいんだ。
「んじゃ、そろそろ切るぞ?」
『あーっ、ちょっと待った!!今、選手交代するから』
「は?」
何なんだよ、選手交代って……。
意味が分からず首を傾げていると…
『もしもし、壱夜くん?』
透き通った柔らかい声が耳に響く。
声の主は碧瀬だ。
『具合、大丈夫?熱も出たって神楽くんから聞いて、心配してたの』
「よく眠ったから、だいぶ楽になった。少し腹が減ったから、これから昼メシ食おうと思ってるところ」
『良かった…。いっぱい食べて栄養つけてね!あっ、ちなみに、今…私たちも昼食中だよ』
「わざわざ実況しなくても、時間で分かる」
素っ気なく返したけど、口元に僅かな笑みを浮かべてしまった。