初恋のキミは最愛ヒーロー
碧瀬との会話って、なんか…心が緩む。
鬱陶しいとか、ウザいとか、そんな風に感じる時もあるけど、不思議と不快感はそれほど無い。
どうしてこんな感覚に陥るのか、俺自身…よく分からないけど。
『と、ところで壱夜くん!』
「……なに?」
『今日の放課後、神楽くんと一緒にお見舞いに行こうと思ってるんだけど、何か買って来て欲しいものとかある?』
は?見舞い…?
思いも寄らぬ言葉が飛んできて、思わず瞬きを何度も繰り返した。
「特にない。っていうか、見舞いなんて来なくていい」
『そういうわけにはいかないよ!壱夜くんの容態が気になるし』
「もう快方に向かってるから、気にしなくていい。風邪がうつったりしたら大変だろ」
『それは大丈夫!あまり風邪ひかないって、前に話したでしょ?周りで風邪が流行っても、殆どうつったことがないから平気だよ』
自信満々に言うことじゃねぇだろ、それ。
電話の向こうでドヤ顔してる碧瀬の姿が容易に想像出来て、苦笑してしまった。