初恋のキミは最愛ヒーロー

「とにかく、見舞いは必要ない。明日は学校に行けるだろうから」


『それじゃあ、また後でね!』


「あっ、おい…」


強制的に話を終了させた上に、電話も勝手に切りやがって…。


強引すぎるだろ。


溜め息を零しながら、枕元にスマホを放り投げた。


どうせ、断りの電話をかけ直したところで、アイツらの意志は揺るがないだろうから、無駄な抵抗は止めよう。


それより、部屋を少し綺麗にしておいた方がいいよな…。


俺は、昨日の夜に着替えて放置してあった服を素早く拾い上げた。


桃舞だけならともかく、碧瀬も来るわけだし。


階段を降りて、脱衣所の洗濯機に衣類を放り込むと、再び部屋に戻ってきて軽く掃除をした。


そう言えば、家に女子が来るのは初めてか…。


……って、なんで少し緊張してんだ。


碧瀬は、ただの友達だろ、友達。


ベッドの端に腰を下ろした俺は、クシャクシャと頭を掻いた。



< 162 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop