初恋のキミは最愛ヒーロー

「今日は風邪で休みだって聞いたけど、元気そうじゃね?仮病を使ってサボりかよ」


「体調が良くなったから外出してんだよ。授業サボってんのは、お前の方だろ?こんなところで何してんだよ」


まだ学校が終わる時間じゃない。


別に具合が悪そうな感じでもねぇし。


「俺は用事があったから、午後の授業を早退してきた。でも、わざわざ家まで行く手間が省けたわ」


「家…?」


「そう、お前の家」


紅月は、俺を冷たく睨みつける。


「黒河内、話がある。ちょっとツラ貸せ」


“ついて来い”と言わんばかりに顎をしゃくると、スタスタと歩き出した。


態度が気に食わないが、俺もコイツと話をしたいと思っていたところだ。


ちょうどいい機会だから、大人しくついて行くか。


住宅地の入り組んだ細い抜け道を通って辿り着いたのは、周りをコンクリートの壁に囲まれた小さな空き地。


すぐ傍に古いアパートがあるぐらいで、人気がない静かな場所だ。


< 165 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop