初恋のキミは最愛ヒーロー
「んで、話って何だよ」
到着するなりスマホをいじりだす紅月にイライラしながら口を開くと、鬱陶しがるような溜め息が返ってくる。
「ったく、せっかちなヤツ」
「さっさと話せ」
紅月は、着ている黒いダウンジャケットのポケットにスマホをしまい込んだ後、冷たい笑みを浮かべた。
「なんで俺がお前に復讐するのか、理由は掴めたか?」
「は?」
「このところ、俺のこと調べてたんだろ?まさか、うちの病院にまで来たとはね…。コソコソと嗅ぎ回るなんて、随分と悪趣味な男だな」
話って、何かと思えば…
このあと俺が話そうとしてたことと、大体…同じか。
嫌みたっぷりの声を放つ紅月に、俺は冷ややかな視線を容赦なく向けた。
「ふーん、“うちの病院”ってことは、一応…あのデカい病院の経営者を、ちゃんと家族だと思ってるんだな」
「思ってねぇよ。ただの事実を口にしただけ」
不機嫌そうに眉をひそめる姿を見ながら、俺は言葉を続けた。