初恋のキミは最愛ヒーロー

「お前が、復讐したいと思うほど俺を恨んでるワケは、心の拠り所だったグループも、気の合う仲間も失って、孤独になったから…だろ?」


「…………」


唇を噛み締める紅月。


鋭い視線が、こちらに向けられた。


「家で過ごすことに息苦しさと窮屈さを感じていたお前にとって、グループの仲間と過ごす時間は、何よりも楽しくて大切だった」


「ああ、そうだよ。それなのに、お前の暴力行為が警察沙汰になったことで、グループは消滅。仲が良かったヤツも親に連れられて、どこか遠くに引っ越しちまった。こんな結末になったのは、全部…てめぇのせいじゃねぇか、黒河内!!」


辺りに怒号が響きわたる。


どこか悲しさを含んでいるような気がした。


「……確かに、俺は赤髪の男を殴った。正当防衛だったとは言っても、暴力行為をした事実に変わりは無い」


どんな理由であれ、暴力はダメだ。


「だけど、お前らのグループは、あの事件に関係なく消滅していたはずだ」


「……っ…」


紅月の肩がピクリと小さく上がる。


まるで、心当たりがあると言っているかのように。


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