初恋のキミは最愛ヒーロー
でも、それは…
「少し、似てるから」
『えっ?』
「俺の好きな女の子に似てるんだよ、碧瀬が。笑顔とか言動とか、重なる時があるし」
電話口とは言え、桃舞に素でこういうのを話すのは恥ずかしいものがある。
顔が熱くなるのを感じていると、桃舞から“おぉっ!”と興奮気味のデカい声が飛んできて、思わず顔を歪めた。
『マジか!それって似てるとかじゃなくて、まさかの同一人物パターンじゃね!?』
「いや、それはない」
『そんなの分かんねぇじゃん。もしかしたら…っていう可能性だってあるだろ?』
「有り得ない。だって、あの子と碧瀬は名前が違うから」
そう…。
夏祭りの日に、彼女のお父さんが呼んでいたんだよな。
あの子のことを“サチ”って。
可愛い名前だな…と思いながら、何度も頭の中で繰り返していたから、よく覚えてる。
だから、どんなに碧瀬にあの子の面影があっても、決して二人はイコールにならないんだ。