初恋のキミは最愛ヒーロー
『ちなみに、その子の名前は?』
「お前には言わない」
コイツに教えたところで、あの子に会えるわけでもないし。
言ったら、あとあと煩そうだし。
「んじゃ、切るぞ?」
『おい!一応、これだけ言っとくから聞いとけ!いくら初恋の女の子に似ていたとしても、これまでの嫉妬ぶりは異常だぜ?普通じゃない』
「は?」
『多分、心のどこかでは分かってんじゃねぇの?まだ気付けてないだけでさ』
「お前、何言って………あっ…」
切りやがった。
ったく、勝手に訳の分からないこと言って会話終了させてんじゃねぇよ…。
舌打ちをしながら、スマホをジーンズのポケットへとしまい込んだ。
そもそも、俺は…嫉妬なんかしてねぇし。
碧瀬は危なっかしいヤツだから、厄介ごとに巻き込まれないように心配してやってるだけ。
「……………」
それなのに、今の理論がストンと胸に落ちていかねぇのは、なんでなんだよ…。
よく分からねぇ…。