初恋のキミは最愛ヒーロー
まあ、いいや。
このモヤモヤした違和感に戸惑ってる場合じゃない。
今は、キーケースを探すのが先決だ。
こうしてる間も、碧瀬は探し続けてるわけだし………って、ん…?
アイツ、どこに行った?
キョロキョロと辺りを見回したものの、碧瀬の姿が見当たらない。
さっきまで、この辺りで探していたはずなのに。
勝手に傍を離れてんじゃねぇよ…。
いや、もしかして…俺が目を離していた隙に変なヤツに連れて行かれたとか?
アイツ、不良遭遇率が高い上に、危険な場面に巻き込まれやすいし…。
嫌な汗が滲む。
碧瀬の携帯に電話してみるか…。
だけど変なヤツが傍に居たら、電話に出れないよな。
こうなったら、この辺りを隈無く捜し回るしか……
そう考えていた時…。
「…………夜くん、壱夜くんっ!!」
背後から徐々に近付いてくる声。
この声は間違いなく、アイツだ…!
勢いよく振り向くと、笑顔で駆け寄ってくる碧瀬が目に映った。