初恋のキミは最愛ヒーロー
「どう?食べられそうな甘さ?」
「はい、とても美味しいです。ケーキまでご馳走になってしまって、すみません」
「いいのよ!他の種類のケーキも買ってきたから、いっぱい食べていってね!」
俺の対面に座っている莉彩のお母さんは、コーヒーを飲みながらニッコリと微笑む。
さすがに、いくつも食べられない…。
一個で充分だし。
っていうか、俺…すごく見られてる。
食べ方が何か変なんだろうか。
緊張しながらケーキを口に運ぶと、莉彩のお母さんは飲んでいたコーヒーカップをソーサーに置いた。
「黒河内くん、学校での莉彩って…どんな感じ?」
「えっ?」
「急にごめんなさいね。もうすぐ今の学校に転入してから半年経つから、新しい学校生活に馴染めてきてるかなと思って」
そう言えば、莉彩が来てから半年か。
「はい、だいぶ馴染んでると思います。莉彩さん、明るくて優しいので男女問わず慕われてますよ」
莉彩と仲良くなりたいと思ってる男子、結構いるらしいんだよな。
出来れば、仲良くして欲しくはないけど。