【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
自分と同じ『田中』という苗字をアンケート用紙に記入したさっきのカップル。
中に入ってきたときもサラッとしか室内をみていなかった。たしかに祐美がいうように冷やかしかもしれない。
芽衣は客が書いて行ったアンケート用紙の『どのような物件をお探しですか?』に記入された文字に目を止めた。
『来年結婚する予定なので、2人で住む新居を探している。』と乱暴な字で書かれていた。
私がこんな風なことをアンケートに記入できる日は、果たして来るのだろうか?
芽衣は、ため息をついた。
そのため息を不機嫌からくるものと考えたのか祐美が
「芽衣さん、帰りに御飯食べて帰りません?雑誌で見たお店に行ってみたくって。あの、私のおごりでどうですか?」
と早口で言ってきた。
「沢山食べてもいいの?」
「えっ…と、どのくらい沢山ですか?」
上目づかいで不安そうに聞いてくる祐美を見て芽衣は吹き出しそうになった。