【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「ごめんなさい。あなたのことは全く記憶になくて」
軽く謝って芽衣は梨田を見上げた。
「では、帰ります」
踵を返した芽衣の腕を梨田がまた掴んできた。
「待てよ。あんたの記憶に残ってないのは、なんていうかさ、ここ最近で1番傷ついたな。こっちは、良く覚えてたっていうのに」
梨田に腕を引かれた芽衣は、本当に嫌そうな顔をして梨田を見た。
「本当にしつこいわね。覚えられてないのが、そんなに嫌なの?」
本当になんでこんな男を真知子は私に紹介したのだろう。こんなストーカーじみたイケメン。
はじめから私のタイプと違うとわかっていたはずなのに。
そうだ。
なんだかおかしい話だ。
親友の真知子は、私が大のイケメン嫌いなことを承知していたはずだ。
それなのに、何故よりによって、こんなにイケメンを紹介したのだろう。披露宴にきていた普通からブサ男なら幾らでもいたはずだ。
「変ね」
改めて綺麗な顔をした梨田を芽衣はジッと見た。
「真知子は、どうしてあなたを私に紹介したのかな?」
「それはだな…」
急に口ごもる梨田
梨田は、気まずそうに芽衣の腕から手を離し初めて目を逸らした。