【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!

梨田の腕をすり抜けるようにして、芽衣は砂浜へ下りた。


「逃げられたっ。うわー。それにしても入りたいよなぁ。で、水着の芽衣といちゃつきたい。2人でデカイ浮き輪に入って波に浮かんでさ、ベタベタして、海から上がったらかき氷食べて、浜で芽衣の背中にオイル塗るよ」
後ろから来て梨田は芽衣をハグする。

「バカみたいな妄想は、やめて」
梨田の腕を外して、芽衣は砂浜を歩いた。

「なあ、芽衣。俺の妄想のすごいところ教えようか？」
隣に走ってきて梨田は芽衣と並んで歩く。
サンダルで砂浜は歩きにくくて芽衣はサンダルを脱いで波打ちぎわを歩いた。


「果てしなくて、リアルで、しかも実現する。今まで俺の片想いは、時間かかっても100%実ってきたから」

「今回は無理ね。時間があっても、私にその気がないから」

芽衣の行く手を阻むように前に出てきた梨田。
「そういうなって。俺は、芽衣の理想の彼氏になれるよ」
梨田は、両手を広げてみせた。

「私の理想を知らないじゃない。私…モテる人は嫌なの」