【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「あーあ、2回目デートで何もなしか。それは30代男には結構キツイな。でも、俺は待てるよ。芽衣が俺を好きになるまで」

モテ男とは、恐ろしい生き物だ。
女を落とす為なら、どんなにくさいセリフであろうと次々に出してくる。

「気が長いことね」


「あっ、芽衣!足元に海蛇っ!」

「え!ヘビっ!」
足元を見ると長いうねうねしたものが波に浮かんでいた。

慌てて飛び上がる芽衣を受け止めるように立つ梨田。バランスを崩しそうになった芽衣は、近くにいた梨田にしがみついていた。

「怖いっ!」
バッチリしがみついていたら、少しして梨田が吹き出した。

「ぷっ!はははっ、ほらね。芽衣からしがみついてきた。やったな。今日も収穫あり」

「嘘なの?こんなの酷いわ」
芽衣は梨田を突き飛ばすようにして離れた。

「ごめん。でも俺からは手をだせないから」

ばかみたい。
子供みたいな嘘ついて、そうまでしてなんのメリットがあるのだろう。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'( T_T)\(^-^ )'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


木の影に広げたレジャーマット。梨田が用意していたものだ。

陽に当たったせいか眠くなり、座ったままうとうとしかけた芽衣。

波の音が心地よく耳に届く。
髪を撫でるようにそよぐ風。

誰かが髪を撫でるようにして何かに自然と寄りかからせてくれる。

瞼を閉じて、初夏の陽気を楽しむ。
こんな平和な時間。久しぶりだな。

このまま、ゆったりしたした時間を過ごすのも悪くない。

そんな風に思えた。

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