散歩道
ちらりと団席の方を見た。

誠也さんは、2年生の女子と楽しそうに話している。



ほらね。
ちゃっかり人気になっちゃって。
デレデレ話してバカみたい…



私は団席から目を離し、また新たに与えられた仕事を始めた。


誠也さんが、誰にも優しいことは知っている。
私は、それが誠也さんのいいところだと思うから。

でもね…
今は、それがすごくやなの。


私は、黙々と仕事をしているつもりだった。

だけど。
考えてしまうのは、誠也さんのことで。
さっきの光景を思い浮かべると、無性に腹が立つ。


きっとこれは、奈美のせいだ。
奈美がさっき変なことを言ったから…



ねぇ奈美。
これが…私の言う確信なのかな。
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