妹の恋人[完]
「でも、これからどうしたらいいのかわからなくてさ」

今までずっとバスケットと勉強を頑張ってきた俺。

急にバスケットを失って、行き先を見失ってしまった。

『私ね、お医者さんになりたいって話したよね』

「うん、覚えてるよ」

『今でもその気持ちは変わらないから、勉強を続けているの』

俺のリハビリに付き合うのも、すごく勉強になっているという高橋さん。

『いろんな病気やけがで苦しんでいる人がいるから、少しでも力になりたいの』

自分の力で誰かを助けられるなんて、魔法見たいって小さいころに思ったのがきっかけだという。

それ以来、医者を目指してずっと勉強をしてきた高橋さん。

『コウヘイ君は部活をやりながらも勉強も出来ていて、すごいっていつも思っていた』

実はずっと憧れていたのよ、なんて笑う高橋さんが愛おしくて。

「ありがとう」

うまく自分の気持ちを伝えられないのが悔しい。

『夢とか目標とかって、探して見つけるものじゃないもの。今できることをやればいいんじゃないかな』

ちょっと偉そうだよね、そういって笑う高橋さんは、きっと今顔が赤いんだと思う。

はにかんだように笑っているんだ。
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