妹の恋人[完]
新しい光
部活を辞めた翌日から、朝も同じバスに乗っている俺と高橋さん。

リハビリも順調で、クリスマス前には鉛筆のような細いものでもつかむことができるまでになっていた。

リハビリの先生も回復の早さに驚いていたくらいで。

俺としては、部活を辞めて気持ちの切り替えがうまくできたことが、リハビリに集中できてよかったんじゃないかと思っている。

足の方はもうすっかり良くて、走っても痛みを感じないほどになっていた。

こちらも、伸びてしまった靭帯を筋肉でカバーするために毎日の筋トレが欠かせなかった。

足の筋力はもともとバスケットで鍛えていたこともあって苦にもならず。

逆に体を動かすことでストレス発散にもなって気分もよかった。

リハビリが順調だと、自分自身の気持ちにも余裕が出てくるようで、いらいらしていた頃が嘘のように毎日が楽しい。

カナコも、すこしづつ以前のように話しかけてきてくれるようになっていた。

家でクリスマスパーティーをするというカナコが、俺と高橋さんも招待してくれるという。

「お母さんとハナちゃんとハナちゃんのお母さんとで準備するから、おにいちゃんはサトミさんとケーキを用意してね!」

クリスマスの1週間前にそう言われ、高橋さんと相談して駅前のケーキ屋さんで予約をした。

高橋さんと二人で過ごすクリスマスも考えていたけど、彼女もこのパーティーに乗り気だったので皆で一緒に過ごすことにした。

今年はイブが冬休み初日なので、パーティーもイブの昼間に開催となった。
< 140 / 587 >

この作品をシェア

pagetop