妹の恋人[完]
学校の勉強と部活とで毎日ハードな俺だけど、夕飯後のカナコの宿題を見てあげるのだけはがんばって時間を作っていた。

ただ、カナコのスイミングがある日だけは、どうしても疲れてしまうようで、俺が帰ってくる前に母さんと宿題を済ませていたけど。

それでも、起きているときは一緒に教科書を眺めたり、俺の勉強を見ながら絵本を読んだり。

短い時間だけど、一緒に過ごす貴重な時間だ。

「おにいちゃん、明日お誕生日でしょう?ママと一緒にケーキ作るから、早く帰ってきてね!」

誕生日の前日、カナコがそんなうれしいことを言ってくれた。

明日は部活があるけど、終わったら速攻で帰ってこよう。

次の日はカナコがどんなケーキを作ってくれるのか、とにかくうれしくて授業中もそわそわ。

集中しなきゃ!と自分に言い聞かせながらも、どうしてもにやけてしまう。

「浅野君、今日は機嫌がいいわね?」

クラス委員の仕事をしていると、副委員長の高橋さんにそう言われてしまった。

そんなに顔に出ていたのかな?と思うと、ちょっと恥ずかしい。

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