妹の恋人[完]
「高橋さんはどうだったの?」

「私も変わらず。1番でした」

ふふっと笑いながら教室を先に出た高橋さん。今なんて?

「えっ、まって!」

あわてて彼女のあとを追うと、職員室の方へ向って歩き出した。

日誌をおきに行くのまで付き合ってくれるらしい。

「ひょっとして、高橋さんってずっと一番なの?」

学年順位は特別張り出されたりするわけでもないので、仲の良い友達の順位くらいしか耳にする機会はなかった。

だから、誰が1番なのかなんて友達がさほど多いわけじゃない俺は知らなくて。

「2年で塾に行くようになってからはずっと、かな?」

嫌味っぽくもなく、さらりと言う高橋さん。

やはり塾での勉強は家でするものとは違うんだろうか。

「浅野君は?」

順位教えてよね!なんて言われて。1番に勝てるはずもなかったんだけど、素直に3番だったと教えてしまった。

「あら、すごいじゃない!」

なんて言われても、なんだか悔しくて。

「明日、塾のテストを受けに行くんだ。合格したら一緒に勉強することになるからよろしくね」

職員室で担任に日誌を渡し、学校を出た。
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