妹の恋人[完]
年末は、バイト以外は母さんに大掃除でこき使われ、なんだかんだであっという間に過ぎて行って。

カヨちゃんとはメールでやり取りするくらいで電話もなく、会うこともなく。

我が家の年越しは、なぜだか毎年母さんが鶏がらからスープをとったしょうゆ味の中華そば。

同じそばでも、早い話がラーメンなわけで。

「おにいちゃーん、中華そば食べるよー!」

お風呂からあがり、髪を乾かしていたらカナコにそう呼ばれたので、リビングへ。

毎年こうして家族がそろい、紅白なんて見ながら今年一年を振り返るのが恒例。

「今年もあっという間だったな」

一番に食べ始めた父さんが、しみじみと思い出しているようだった。

「コウヘイも大学生になったしね」

ふふっと笑いながら母さんも食べていて。

隣でカナコもはふはふしながらおいしそうに食べていた。

「カナコの水泳もすごかったよな」

皆と同じように、俺も麺をすする。

この味は毎年大みそかにしか味わえないけど、絶対にそこら辺のラーメン店よりも美味しいと思うのは、小さいころから食べ慣れているからだろうか。

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