妹の恋人[完]

「来年はカナコも中学生ね」

カナコの周りでは、中学受験をする子も何人かいるようで。

カナコは水泳を続けるつもりで、私立の中学から声がかかったようだけど悩んだ末断っていた。

家から通える、俺の母校でもある公立の中学へと進むらしい。

「中学でも水泳部に入るからね!」

両手を掲げてガッツポーズを取ると、胸を張ってそんなことを言うカナコ。

「がんばれ!」

年末も、俺と一緒に朝早くから走っていて。

走り始めたころに比べたら、ずいぶんと体力もついたようで、俺と同じペースで走れるようになっていた。

もともとスイミングをずっと続けているのもあって、基礎体力はあったんだと思うけど。

それでも、まだ12歳なのにすごいなぁなんて思ってしまう。

「私も来年から朝歩こうと思っているのよ」

そんな会話に割って入るように、突然の母さんの言葉。

「え!?」

思わず驚いて大きな声を上げてしまう。

「そんなに驚かなくてもいいじゃない?ハナちゃんのお母さんと一緒に、ウォーキングをね」

そうそう、これ見てー!なんて部屋から何か持ってきたと思うと、新しいウエアにウォーキング用のシューズまで購入していて。
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