妹の恋人[完]
合格発表が終わり、気持も落ち着いたころ。

カヨちゃんから夜中に電話がかかってきた。

『遅くにごめんね。今から会いたいの』

突然の夜中の電話も初めてならば、こんな風に今から会いたいなんて言われたのも初めてで。

落ち込んだその声に、何かがあったということは察しがついたけど。

「今どこ?すぐ行くよ」

家にいるという彼女のもとへ行きたいけど、もう終電の時刻も過ぎていて。

静かにリビングへ行くと、父さん達の寝室から声が聞こえたので、ノックして出かけてくることを伝える。

「車のカギを借りてもいい?」

「遅い時間だから、安全運転でね」

母さんの車を借りて、家を出る。

もうすぐ4月だけど、さすがに夜中は冷えて。

カーエアコンを入れて急ぎ気味でカヨちゃんの家へと向かう。

車が温まった頃にはマンションに到着して。

近くにあるコインパーキングに車を止めると、急いでマンションのインターホンを押した。
< 409 / 587 >

この作品をシェア

pagetop