妹の恋人[完]
しばらくして、静かになったと思ったらどうやらそのまま眠ってしまったらしくて。

そっと抱きあげてベッドに寝かし、布団をかけて。

起きる気配はなく、頬に残る涙の跡を拭ってから、部屋の電気を消してリビングへと戻った。

その夜は、父さんと母さん、俺の3人でこれからのことを話し合って。

カナコは、もう少し説得してみて、意志が固いようならここへ残ることも考えるという結論に至った。

「もし、残ることになった時だけど・・・」

母さんがとにかく心配していることは、俺が思っているのと同じように女の子が一人で遅い時間まで過ごすことになるということだった。

「家事は、カナコも最近は興味を示して手伝ってくれていたから、頑張れば何とかなると思うけど」

「俺も、できるだけ早くは帰るけど、どうかな」

4月から行く会社は、配属先によっては帰りが遅くなることもあるようだし、そもそも4月の1ヶ月間は研修でどこか別の所へ行くような話を聞いていた。

「ハナちゃんのお母さんに甘えるしかないかしら・・・」

昔から仲がいいという母さんとハナちゃんのお母さん。

家族での付き合いも、俺が小さいころからで、お互い親戚が近くに居ない分困ったときは助け合ってきた。
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