妹の恋人[完]
これは、カナコの意志が固いことを表していて。

夕べ、俺が眠る前に隣のカナコの部屋がごそごそしていたから、きっと一人で悩んでいたのだろう。

「そうか。じゃあ、これからは朝食はカナコの担当かな」

俺は、カナコの出した結論を肯定も否定もしないけど、こうして前を向いて努力をすることは嫌いじゃない。

もう少し話し合いは必要だと思うけど、きっとカナコはここに残るんだ。

そう思うと、俺の中にあったもやもやとした気持ちも少し晴れたようで。

「おにいちゃん!はやく!」

玄関で靴をはき終わったカナコにせかされて、二人で朝の街へと走り出した。


いつもどおり走った後、帰宅すると時間を見て温めておいてくれたのか、母さんが朝食をいつでも食べられるようにしておいてくれて。

「今日、仕事から帰ってきたら、もう一度話をしような」

怒っている風でもなく、やさしくそう言った父さんに、カナコも笑顔で頷いていた。

朝食後、父さんと一緒に家を出て今朝のカナコの様子などを話しながらバスに揺られた。

「コウヘイに迷惑をかけることになってしまうけど」
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