妹の恋人[完]
夜遅く、バイトが終わってから帰宅すると隣のハナちゃんのお母さんが来ていて。

「コウヘイ君、おかえりなさい」

「おばさん、こんばんは」

カナコはもう寝ていたけど、これからのことを話し合っていたらしい。

「カナちゃんとコウヘイ君のことは、私たちに任せてね」

残業でまだ帰宅していないおじさんにも、連絡済みらしく。

4月から、俺の帰りが遅い日などはお隣にお世話になることになった。

「よろしくお願いします」

「ふふ。うちもパパの帰りが遅いから、カナちゃんがいたら賑やかでうれしいわ」

いつもこうして嫌な顔をすることなく助けてくれるハナちゃんのお母さん。

母さんと二人でたまに羽目を外すこともあるけど、基本的にしっかりとしていていつもにこにこしている。

盛り上がっている横で、遅い夕飯を食べながらも、父さん達が引っ越した後のことをあれこれ決めていった。

しばらく、俺の生活が落ち着くまでは夕飯だけ食事までお世話になることに決まり、申し訳ないけどとてもありがたい話だった。

俺のことはどうとでもなるけど、カナコはやはりまだかわいそうで。

「カナちゃん一人で夕飯なんてかわいそうだものね。うちで食べてくれたら私もハナもうれしいし」
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