妹の恋人[完]
母さんが作るよりは、確実に時間がかかっているけど。

それでも、サラダまでそれなりに完成して。

「なかなかおいしいねぇ」

静かになると父さんや母さんを思い出すような気がして。

お互いに、他愛もない話だけど。

沈黙ができないように何かを話したりしていて。

いつも食事のときは付けないテレビをつけたりして、お互いにさみしさを紛らわしていた。

食事が終わり、片付けも二人でして。

「朝ご飯、私が作るからね」

父さんの転勤を知った翌日から、毎日作り続けた朝食は、すっかりカナコの仕事として定着していて。

「4月からお弁当も作るんだ!」

図書館で、お弁当の本を借りてきたりして、カナコは新しい生活をとても楽しみにしていた。

「おにいちゃんの分も、作ってあげるね!」
< 545 / 587 >

この作品をシェア

pagetop