Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
今ここでこの男が私の背中にナイフを突き立てようと思えば出来るだろう。
ホテルで私たちを襲ってきた男は明らかに殺意を持っていて、ナイフを振りかざすことになんの躊躇も見せなかった。
この男が同一人物であれば、私を殺すことにきっと躊躇わない。
――殺されるの?
頭が恐怖で真っ白になった、そのとき。
「何してんだ!?」
地面に伏せる私の耳に、誰かの声が届いた。
必死に首を持ち上げると、正面に黒い革靴が見えて、それを上へ辿っていくと、細身のブラックジーンズに黒いシャツ、中肉中背で明るめの茶色い髪。
陣さん……!!
「っっんんんっ……!」
口を塞がれた状態では、『助けて』すら声にならなかった。
けれど、陣さんの意識を奮い立たせるには十分だったようで、ハッとしたようにこちらへ駆け寄ってきた。
「おい! お前!」
走り寄る陣さんを見て、男は逃走を決めたらしい。押さえつけていた私の身体を放り出して逆走する。
すぐうしろの曲がり角に隠れるように身を滑らせた。
「待て! このっ……」
陣さんは男を追いかけて角を曲がろうとするも、そこにすでに男の姿はなかったようで、足を止め、やるせなく道の先を睨んだ。
ホテルで私たちを襲ってきた男は明らかに殺意を持っていて、ナイフを振りかざすことになんの躊躇も見せなかった。
この男が同一人物であれば、私を殺すことにきっと躊躇わない。
――殺されるの?
頭が恐怖で真っ白になった、そのとき。
「何してんだ!?」
地面に伏せる私の耳に、誰かの声が届いた。
必死に首を持ち上げると、正面に黒い革靴が見えて、それを上へ辿っていくと、細身のブラックジーンズに黒いシャツ、中肉中背で明るめの茶色い髪。
陣さん……!!
「っっんんんっ……!」
口を塞がれた状態では、『助けて』すら声にならなかった。
けれど、陣さんの意識を奮い立たせるには十分だったようで、ハッとしたようにこちらへ駆け寄ってきた。
「おい! お前!」
走り寄る陣さんを見て、男は逃走を決めたらしい。押さえつけていた私の身体を放り出して逆走する。
すぐうしろの曲がり角に隠れるように身を滑らせた。
「待て! このっ……」
陣さんは男を追いかけて角を曲がろうとするも、そこにすでに男の姿はなかったようで、足を止め、やるせなく道の先を睨んだ。